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市庁舎の耐震性

山本よしかず からのメッセージ

 新聞社の調査によると全国の特別区・市の本庁舎の耐震調査で、約3割が新耐震基準を満たしていないか、あるいは、耐震性が不明であることが分かりました。自治体の庁舎には大地震発生の際に、災害対策本部が置かれ、被災者の救出や避難施設への誘導、食料の供給などの対応にあたる災害対策の拠点となるべき庁舎が地震に耐えられず、損害を被るようでは地震発生後の対策が後手に回ると懸念されます。
 
 4月に発生した熊本地震では熊本県の宇土市役所本庁舎が損壊し、人々に衝撃を与えました。すべからく役所の建物は丈夫で頑丈というイメージがありましたが、決してそのような建物ばかりではないということが分かりました。今回の調査は1981年の新耐震基準導入前に建設された本庁舎を対象に東京23区と全国790市へ依頼して行われましたが、249自治体の耐震診断の結果によると、耐震性が不十分と診断された庁舎、また、28自治体からは耐震性不明との回答を得たようです。
 
 耐震診断の結果、耐震性が十分でないとされた建物は補強するなり、もしくは新庁舎に建て替えられればいいのですが、どの自治体も予算に限りがあり、予算の確保が難しいのが実情です。加えて、市区町村内の小中学校の校舎や体育館の耐震補強が優先され、本庁舎の耐震補強はどうしても後回しにされてきました。
 
 現在、工事が行われている鎌ヶ谷市役所では19億8,510万円の費用を投じ、免振方式で耐震性の強化を図っています。昭和51年に完成した同庁舎は、耐震指標であるis値が0.46で、「倒壊、または崩壊する危険性がある」とされてきましたが、市内小中学校の耐震工事を優先し、ようやく一巡したことから、市庁舎の耐震工事に着手されました。
 
 庁舎の耐震性能が十分でないことを知りながら、財政の問題で工事に取り掛かれない自治体が多いのではないかと思いますが、国による様々な補助制度を活用するなどして、思い切った決断も必要になってくるのではないでしょうか。
 
 新聞報道では、本庁舎が損壊した場合の業務継続計画についても調査され、全体の4分の1が策定されていないと指摘されています。大災害で本庁舎が使用できなくなった際に代わりの施設、さらに職員の体制を決めておくのが業務継続計画です。県内の自治体もしっかりとした計画を作成し、万一の事態に備えるべきではないでしょうか。
 
■出典=5月1日付読売新聞
 

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