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保育所確保に奨学金制度

山本よしかず からのメッセージ

 9月定例県議会が始まり、県は総額55億2100万円の一般会計補正予算案を提案しました。提案された事業のうち、注目されるのは保育士確保のための事業です。保育士資格取得を目指す学生への修学資金貸付制度を創設、そのための予算16億6千万円を計上しました。

 

 保育士不足は保育園に入りたくても入れない入所待機児童の増加に直結しています。保育園を新設したくても、保育士の確保がままならないからです。「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログで、国会でも問題になった保育園入所待機児童は全国で2万3千人にも及び、千葉県でも今年4月1日現在で1460人の児童が保育園の空きが出るのを待っています。

 

 多岐にわたる勉強や実習を終了、また、国家試験に合格した保育士の卵が毎年、5万人も誕生しているのに、これほどまでに保育士不足が叫ばれている理由として、保育士の給与水準の低さが挙げられています。保育士の平均手取り給与は20万円ほどだと言われていますが、現場の保育士の間ではせいぜい、13~14万円という声もあります。これでは独立した生活は難しく、次々と保育園を辞めていってしまうばかりか、保育士養成の学校を卒業しても保育士にならない人もいます。特に男性保育士にとっては将来、この給与水準で家庭を持つのは絶望的で、保育園を去ってしまう原因になっています。

 

 保育士の仕事は朝から晩までの長時間労働で、神経をすり減らす仕事です。それなのに保育士の処遇が低いのは保育園の財源問題があります。認可保育施設の場合、市区町村が国や都道府県から負担金や補助金、保護者から保育料を受け取り、そこから保育園に運営費が渡されるようになっています。その運営費から保育士の給与も支払われますが、負担金や補助金は税金が使われているために大きく上げにくく、また、父兄からの保育料も他の保育園の保育料との兼ね合いもあり、独自に値上げしにくい状況にあります。このため、保育士の給与状況は一向に改善しないのです。

 

 国も黙って見ているわけではなく、来年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保するために、民間保育所の保育士の給料を平均5%改善する方針です。これに呼応して県も、新たな保育士確保策として学生への修学資金貸付制度を創設しました。この制度は学生一人につき最大120万円と各20万円の入学・就職準備金を貸し付け、資格取得後に県内の保育施設で5年以上勤務すれば、返済はいずれも免除されるというシステムです。船橋市や流山市も同様の制度を実施していますが、重複して利用も可能だそうです。県は年間200~300人の同制度の利用を見込み、保育士の県内定着を期待しています。

 

 少子化が進む一方、核家族化も進む中、女性の社会進出により、共働き家庭が増えているうえに、今後、社会で活躍したいと考えている女性や子どもを持ちたいと考えている女性が増えてきていますが、親世代に子どもを預ける環境にない家庭も増えたことから、保育所に預ける家庭が増えてきているのが現状です。

 

 保育所に入りたくても入れない現在の待機児童の問題を解決するのが焦眉の課題です。今後も様々な方策を用いて待機児童解消に向けて努力を続けていく必要があります。

 

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