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新しい価値観

山本よしかずからのメッセージ

 「頑張るな、ニッポン」。ある企業のCMのキャッチフレーズが話題を集めています。私たち日本人は、頑張るのが美徳と教えられてきました。今は見なくなりましたが、昔の小学校校庭には働きながら勉学に励む二宮尊徳の像が置かれ、頑張らない者は怠け者との烙印が押されたものでした。それだからこそ、このキャッチフレーズが何となく心に引っかかります。

 

 新型コロナウイルス感染症の流行で私たちの生活様式は大きく変化しました。私たちのこれまでの価値観も大きく揺らいでいます。そういう時代だからこそ、賛否両論がありますがこの後ろ向きのセリフが注目を集めるのでしょう。

 

 テレビや新聞でこのキャッチフレーズを流しているのはテレワーク関連の企業です。「毎朝、出勤に頑張らなくても、自宅でのテレワークという選択肢もあるのでは」というコマーシャルです。

 

 確かに、新型コロナウイルス感染症の流行はサラリーマンの仕事のスタイルを大きく変えました。テレワークがごく普通のことになり、新型コロナが終息した後もテレワークを継続することにした企業の中には、「拠点はサテライトの事務所で十分」と、都内の本社を閉じる会社も現れました。メールで一方的に送られてくる仕事を済ませるために、家庭内残業を強いられ、かえって大変という愚痴も聞かれますが、なによりも出勤に時間とエネルギーを掛けずにいいのはテレワークの大きなメリットでしょう。

 

 この企業の担当者の話では、昨年、台風の襲来でJRが初めて計画運休をしましたが、利用者から批判的な意見が思ったより少なく、それまでの「どんな時でも会社に行くのがサラリーマン」という従来の価値観が、「大変なときは無理して会社に行かなくていいのでは」という方向に変わってきたのを実感したということです。それに加え、今年の新型コロナの流行で「がんばらないのも大事なことだよね」というメッセージを送ることになったといいます。

 

 降ってわいたような新型コロナ禍で働き方にとどまらず、これまで是としてきた事柄や考え方が少なからず崩壊し、私たちは新しい価値観の創造に迫られています。そんな中、テレワーク効果もあってか、首都圏「買って住みたい街」ランキングで八街市が26位と躍進されました。のびのびと生活できる郊外で豊かな自然環境を楽しみなら家族との時間を大切に暮らしたいと考える方が増えて来たのか、住宅物件の購入希望者が増えているようです。職業等にもよると思いますが、通勤を「頑張らない」生活様式も一考する価値が十分にあるのではないでしょうか。

 

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