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所在の分からない100歳以上のお年寄り

◆所在の分からない100歳以上のお年寄り◆
 
 所在が分からない100歳を超えるお年寄りが相次いでいます。国内最高齢を越えるお年よりも多く、まったく、理解しがたい“事件”です。 
 
   東京・足立区で死後30年経過したと見られる白骨死体が見つかったことがきっかけでした。明治32年生まれで、生存していれば都内男性の最高齢の111歳でしたが、即身仏になると、食べ物や飲み物を断って、死亡したと見られています。 
 
   この事件を契機に、全国各地で所在確認や安否確認ができていない100歳以上のお年寄りの洗い出しが始まりました。この結果、住民登録の住所を尋ねても駐車場や高架の下だったり、別の人が住んでいたりと、本県を含む全国各地で相当数の不明者がいることが分かり、住民登録のあり方を含めて波紋を呼んでいます。 
 
   なんで、このようなことが起こるのでしょうか。中には独り暮らしの生活を送っていてひっそりと死亡し、身元が分からない行旅死亡人(こうりょしぼうにん)として処理されている者もいるのでしょうが、それだけではすべてを説明できません。もし、亡くなっていて埋葬されていれば埋葬許可証が必要で、それには死亡届が必須です。それすらされていないとすると、遺体はどうなったのか、まさにミステリーです。 
 
   さらに注目されるのが、この所在が分からないお年寄りに年金が支給されていたかどうかです。これまでの調査では、所在や安否の確認ができない高齢のお年寄りに年金が支払われていたケースがあったようです。年金を受け取っているお年寄りには年1回、生存確認の書類が厚労省から送られることになっており、なにやら、不正の匂いがします。 
 
   昔、息子が集中治療室の脳死の父親を「父の年金がストップすると、家のローンが払えなくなる。何とか生かしておいてほしい」と、医師に懇願する映画がありました。今回の出来事はこの映画の場面となにやら重なります。 
 
   韓国のメディアは「日本の長寿には虚構があった」と題して、多くの100歳以上の高齢者の所在が分からない出来事を皮肉っぽく報じました。この程度の数の100歳以上のお年寄りを除いても、平均年齢にはほとんど、差は出ませんが、超高齢者が急速に増加しているのに、社会的な管理体制が追いついていないだけではなく、家庭崩壊、地域社会の崩壊などの問題も重なった結果だという論調にはうなずける点もあります。 
 
   厚労省は安否が不明の年金受給権を持つ高齢者に生存確認を求める文書を近く、臨時に郵送し、返信がなければ年金支給を一時差し止めることを決めました。返信があった高齢者には日本年金機構の職員が面会を試みるそうです。 
 
   国民年金の未納率が4割を越し、過去最高を更新したそうです。国民年金の信頼を回復するためにも、今回の出来事には厳格な対応を関係機関にお願いしたいと思います。
 
 
 
 
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