山本よしかずからのメッセージ
様々な出来事があった今年もいよいよ押し迫ってきました。皆さまには今年一年が大団円を迎え、さらに来年、素晴らしい年を迎えられるよう準備にお忙しいことと思います。
さて、今年一年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」の発表が京都の清水寺で行われ、投票の結果、「金」が選ばれました。パリオリンピック・パラリンピックで金メダルを獲得した日本人選手の活躍を称賛することに異論はありませんが、私としては、今年の出来事として、石川県能登半島を襲った震災がまず、脳裏に浮かびます。ちなみに、投票結果の2位は「災」(さい)、さらに4位には「震」が入りました。
正月気分を吹き飛ばした能登半島地震では、避難所生活での負担で亡くなるなどの災害関連死を含めて489人が無くなり、8万戸を超える住宅が被害を被りました。未だに仮設住宅暮らしの方も大勢いらっしゃいます。亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、一刻も早く、被災された方が前の生活を取り戻すことができるよう祈念します。
平成23年の東日本大震災、平成28年の熊本地震、さらに今回の能登半島地震と大きな地震が連発し、なにやら不気味でしたが、今年8月には南海トラフ地震臨時情報が発表されました。伊豆半島から宮崎県沖まで伸びる南海トラフで地震発生の可能性が高まったと気象庁が警戒を呼び掛けました。今後30年以内に70~80%の確立で発生するとされる南海トラフ地震では、マグニチュード9.1の地震で32万3000人が亡くなり、被害額は220兆円に及ぶと想定されています。臨時情報の発令で、慌てて避難場所を確認した方も多いのではないでしょうか。
そこで、平時と災害時を一体としてとらえた防災への取組みを推進する「平時」と「災害時」といったフェーズの境界を極力なくすことで、様々な負担の低減や制約の解消、経費の節減、さらには災害時の利便性の向上になり、いつどこで起こるか分からない災害に危機意識を常に高いレベルで保ち続けることは、理想ではあるが困難であります。
災害のために特別に備えるのではなく、日常に利用するモノやサービス等を災害時にも有効活用できるようにする考え方、フェーズフリーの普及啓発や理解促進に努め、日本一の防災県の確立に向けて防災力の充実強化に取り組んでまいります。
ところで、地震発生で問題になるのが、山間部の集落の孤立です。連絡道路が落石で途絶して、集落の住民は飲食に困り、電気がない生活を余儀なくされます。能登半島地震では33カ所の集落が孤立し、住民は自衛隊が運ぶ救援物資で糊口をしのぎました。
千葉県の調査では、地震による山崩れや津波などで孤立する可能性がある集落が、県内で532もあることが分かりました。大地震に備えて、多くの集落が食料や発電機などの備蓄を進めています。物資輸送用のドローンを備蓄した集落もあるということです。地震への備えはやりすぎと言うことはありません。県や市町村、それに私たち一人ひとりが「その時」にしっかりと備えましょう。