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ロボット農機

山本よしかず からのメッセージ

 最新鋭の自動車工場では長いアームを持つ溶接機械などがあらかじめプログラミングしたとおりに作業し、まるでロボットが自動車を組み立てているかのようです。自動車工場だけではありません。最先端産業の工場では製品製造のロボット化が常識になっています。そのロボット化の波が農業にも押し寄せてこようとしています。
 
 IT農業で今、注目されているのが、無人のトラクターが畑地を耕し、作物を収穫するロボットトラクターです。中でも衛星からのGPS電波を受信して動くロボットトラクターは、あらかじめ走らせたいコースや作業をトラクターのコンピュータに記憶させておけば、コースから外れたら自動で修正し、耕作地に適量の肥料や農薬を散布することもできます。
 
 実際、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアではほとんどのトラクターやコンバインなどの大型農機具にGPS受信機が搭載されていて、農機が自動的に肥料や農薬をまいてくれるそうです。運転中にハンドルから手を離したままでも真っ直ぐ走ってくれる、手放し運転のシステムもかなり普及しているといいます。ただ、このGPS農機を使う場所はやはり、ある程度の広さを持つ耕作地に限られ、日本では北海道で少しずつ普及しつつあるという状況だということです。
 
 それでも、技術の進歩はやがて、内地の農地でもロボットトラクターの使用を可能にしそうです。すでに300万円ほどの価格のGPS受信機を組み込んだ農機用ロボットナビゲーションシステムが試作されていて、既存の農機にも取り付け可能だそうです。このシステムが1セットあれば田植えの時は田植え機に、収穫の時はコンバインにそれぞれ組み込めばいいのです。
 
 大手農機具メーカーは、手動で走行するトラクターに追従したり並走する無人運転トラクターを開発し、「ロボトラR」と名付けて昨年の国際ロボット展で紹介しました。このトラクターを使えば、1台が農地を耕し、もう1台が種を植え付けるという同時作業ができることになります。
 
 このほか、イチゴやトマトなどの収穫時期を装置の画像センサーなどで判定し、傷つけずに摘み取る自動機械や、野菜苗の接ぎ木作業を無人で行うロボット機械も開発中です。
 
 また、国はロボット農機の安全性確保ガイドラインを作成中ですが、より安全性を高め、リスクの少ないロボット開発に努めていただくことにより、農業従事者の平均年齢が65歳を超え、さらに、農家数も減少して人手不足は深刻さを増す中で、日本の食料自給率をこれ以上低下させることなく、日本の農業を維持するためにもロボット農機に寄せる期待は大きいものがあります。
 

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