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魚を絶滅から守ろう

山本よしかず からのメッセージ

 日本人にとって、魚は昔から大事な食物でした。その魚が世界的に減少していると言います。中には絶滅に向かっている魚もいるとのことです。我々の食生活に欠かせない魚はいったいどうなるのでしょうか。

 

 「最大持続生産量」という言葉があります。魚資源を一定以上保っていれば、魚は繁殖サイクルを続け、減ることはないという学説です。つまり、魚資源を減らさないためのぎりぎりの総漁獲量で、その数字は1億トンとされています。それ以上の魚を獲ると魚資源は確実に減少に向かうとされています。魚の数がある一定以上減少すると、繁殖のために雌雄が出会う機会が減るのが理由とされています。

 

 ところが、世界の漁獲量の現状は1988年に1億トンを超え、2014年には1億9578万3601トンに達しています。漁獲量世界一の中国だけで7614万9368トンもの魚を獲っておりますが、我が日本は世界第7位で、その漁獲量は477万2892トンでした。魚資源の減少について世界食糧農業機構(FAO)が1997年に、「世界の水産資源の過半数の魚種は乱獲で、漁業が減少に転じていくか、これ以上の漁獲増が見込めない状態にある」と警告しています。さらに、2002年には水産資源の持続性確保の必要性を訴えています。

 

 もちろん、世界中で水産資源確保に向けた取り組みが行われています。国内の会議や国際会議で有識者や科学者が資源の現状や回復力を考えて一定期間内に漁獲して良い水産資源の総量を勧告します。しかしながら、各国の政府などは漁業利益を優先し、この勧告を上回る漁獲枠を設定しがちといいます。マレーシアの「世界魚類センター」は現在、水揚げされている魚の4分の3は枯渇が懸念されている魚種と警告を発しています。

 

 乱獲から水産資源を守るために、魚の養殖が脚光を浴びました。しかし、この養殖にも問題がないわけではありません。養殖場を造るために干潟やマングローブなどの自然を破壊したり、養殖場からの排水などが海の環境を損なっています。養殖魚の餌として利用される小魚の乱獲も問題になっています。サーモンのような養殖魚を1トン養殖するのに、小魚が3トン~5トン必要と言われています。

 

 水産資源を絶滅から守るため、世界中の水産国が英知を結集し、団結してことにあたらなくてはなりません。WWFは、資源を守るためにしっかりとした取り組みをした水産物に添付することが許される認証エコラベル「MSC(海洋管理協議会)」や、環境に大きな負荷をかけないと認められた養殖業の認証ラベル「ASC(水産養殖管理協議会)」の普及を後押ししています。我々消費者はこれらのラベルが貼られた魚を買い求めるよう心掛け、魚の絶滅や環境の悪化を防ぐのに一役買おうではありませんか。

 

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