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「チバニアン」を売り出そう

山本よしかず からのメッセージ

 「チバニアン(ラテン語で千葉時代)」の根拠になる養老渓谷の77万年~12万6000年前の地層「千葉セクション」を見学する人が引きも切らなかったそうです。さすがに厳冬期になって人出は一段落しましたが、春を迎えて観光シーズンになれば再びたくさんの見学者が現地を訪れることが予想されます。地層の保存に万全を期すと同時に、千葉の新たな観光スポットとして売り出す算段も必要です。

 

 地球は大きな磁石にたとえられ、現在は北極がS極、南極がN極になっていますが、これまでに地球の磁場は11回も逆転したということです。最後に逆転したのは今から77万年~12万6000年前で、茨城大と国立極地研究所などのグループが養老渓谷の「千葉セクション」と名付けた崖に、この痕跡をとどめている地層を発見しました。

 

 46億年の地球の歴史を、当時の生態系や気候変動などを基に115に区分したのが地質年代です。恐竜が生息していた「ジュラ紀」や「白亜紀」などが有名ですが、これらの大きな時代の境界となる地層が世界で1カ所だけ、「国際標準模式地」として選ばれます。茨城大と国立極地研究所などのグループは最後の地場逆転が起きた時代を境界とする中期更新世を代表する地層として命名を申請、イタリアが申請した「イオニアン」を抑えて国際地質科学連合の作業部会による1次審査を通過しました。国際地質科学連合で正式認定されれば慣例により、黄金の杭が養老渓谷の「千葉セクション」に打ち込まれます。

 

 「チバニアン」の報で、現地は一躍、地球の磁場逆転の痕跡をとどめるパワースポットとして注目され、多くの人が訪れるようになりました。駅から現地までシャトルバスを運行、警備員も配置して見学者の整理にあたった地元の市原市は、観光シーズンに備えて仮設駐車場を新たに整備するそうです。

 

 また、市原市と県はこの地層を国指定の天然記念物とするための申請手続きを行いました。指定が目指されるのは、「千葉セクション」を中心に、周辺の養老川支流や滝、素掘りのトンネルなども含めた地域。天然記念物として指定されれば周辺整備を補助金で賄えるほか、地層が破壊されることを法的に防ぐこともできるようになるということです。

 

 国の天然記念物として指定されれば、国の内外に売り出そうとしている「チバニアン」の地層に一層、箔が付くことになります。文化審議会の審議結果が待たれます。

 

≪地層の所在地は市原市田淵地区の養老川沿いです。東京からはJR内房線で五井駅へ行き、小湊鐡道に乗り換えて約1時間で月崎駅へ到着、県道172号、81号を徒歩で約30分。現地の足元は滑りやすいので要注意≫

 

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